毎月分配型投資信託で損こいた話 メキシコ債券オープン25万円購入
前回の記事では、夢の配当金生活に向けてBB格以下の格付けの事業債を投資対象とした"フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド"を購入、最終的には利益が出ている私ではあったが、その裏で損失が出てしまった投資信託がある。
それがこのメキシコ債権オープンである。
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの好成績で調子に乗る
2014年秋、表題の投資信託を購入し、基準価格はヨコヨコで順調に毎月約1万円の分配金を受け取っていた私。
2015年の初めごろ、私はさらに分配金を増やすべく、前回と同じ地元の地銀の窓口に向かっていた。
発展途上国への投資
地銀に追加で投資信託を購入したい旨を伝えると、銀行員はすぐに対応してくれた。
前回買ったフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは調子よく分配金を出し続けており、このまま同じ銘柄を買い進めるという手もあった。
しかし今回は先進国以外の国にも投資して、リスク分散を図りたいと考えていた。
どの国に投資するかは色々と迷ったが、アメリカの隣にあってそれなりに経済規模が大きく、NEXT11とも呼ばれ経済成長が期待されていたメキシコに投資することを決めた。
メキシコ債券オープンを25万円分購入
メキシコ債券オープンとはメキシコの国債・政府機関債および国際機関債を中心に投資する投資信託である。
たとえ発展途上国と言っても、政府関連の債権であればそれほど大きく暴落しないだろうと予想していた。
なお、このとき銀行員さんにこの銘柄はどうですかねと聞いてみたが、あまり売れていない投資信託のようで、パンフレット以上の情報は何もなかった。
NISAの枠は当時100万円あり、このときは100万円分の投資信託の購入を検討していた。
しかし銀行員さんに100万円一度に購入するか、50万円分だけ買って次回改めて購入するのどちらが良いか聞いたところ、50万円ずつ購入した方がいいですよと即答され、このときは他の銘柄と合わせて合計50万円購入することに決めた。
このときなぜ銀行員さんが一度に購入しない方がいいと言ったのかはわからないが、結論を言えばこのとき50万円だけ購入したことは、後々の損害を軽減してくれる結果となった。
追加で毎月支給される分配金に浮かれる
メキシコ債券オープンの分配金は当時で120円/口、25万円で購入できたのは20口程度、NISA口座だったので2400円もの分配金が毎月入ってくるようになった。
当時は分配金が増えたことに浮かれていたが、今思えば表面利回り10%は非常に高く、基準価格を下げてでも分配金を配り続ける、典型的なタコ足投信であったといえる。
メキシコペソ安による損害発生
高額な分配金に喜んでいるのもつかの間、メキシコ債券オープンを購入して割とすぐに、この投資信託に悲劇が襲う。
メキシコペソが急落したのである。
アメリカのシェールガス・オイルの産業が発達し、原油価格の値下げ戦争が勃発。輸出額の中の結構な割合を石油が占めるメキシコの景気が悪化し、メキシコペソの価値が急落した。
以下はメキシコペソのチャートである。
投信購入当初(赤丸部分)は8円/1メキシコペソであったレートが、あっという間に6円/1メキシコペソまで下落したのがわかる。
メキシコ債券オープンはメキシコペソ建ての投資信託なので、この影響をモロに受けてしまったのである。
トランプ大統領の対メキシコ強硬政策による損害発生
2017年1月トランプ大統領が就任したことにより、この投資信託は更なる損害を発生させることになる。
選挙の時からメキシコとアメリカの間に壁を作るなどと、対メキシコ強硬政策を主張した。
最終的に壁を作ることまでは至らなかったものの、メキシコ経済への不安からメキシコ債券オープンの基準価格はさらに下がっていくことになった。
現在の損益・・・・購入は正しかったか
2021年四月現在、分配金は30円/月、毎月600円まで急落、基準価格も5200円と購入当時の半値以下まで急落してしまった。
現段階の運用成績は25万円の投資に対し、時価総額は10万円、これまでの配当金も10万円とのことで、損益はマイナス5万円。
運用期間は約6年なので年利でマイナス3.3%の悲惨な成績であり、この投資信託の購入は失敗であったと言える。
せめてもの救いは一度にたくさん買わなかったので、被害を抑えられたことだろう。
ここから助かる気はしないが、コロナウイルスからの回復からか最近基準価格が若干盛り返しつつあるようなので、このまま塩漬けにしておこうと思う。
教訓 発展途上国通貨建て投資のリスク
私のこれまでの人生の中でも発展途上国に投資をしたのはこの一度きりだ。
今回の損失を教訓に発展途上国へ投資することのリスクを学ぶことができた。
投資の損失としては小額かもしれないが、損失5万円は勉強代である。
世界が不安定なとき、日本円の価値は上昇しやすい一方、発展途上国の通貨はあっという間に下がる。
それを認識したうえで、なお発展する見込みがあるという国にしか、基本的に途上国の通貨建ての投資はしてはいけない。
そんな国はなかなか見つからないし、判断も難しいので、今私は全世界株や米国株ばかり購入し続けている。